2011年7月 特別な中総体
 
「大人たちにできることは全てやりました。あとは,君たちの手で,この特別な中総体を,最高の大会に仕上げてください!」
 
 開会式でのこの挨拶で,この年の県大会がスタートしました。1つの地区も欠けることなく,何とか,何とか,震災前と同じ規模での開催することができました。
 
 4月に「県大会やるぞ!」と決まり,喜びをかみしめたまではいいのですが,まずは会場の問題が発生しました。宮城県大会には,男子36チーム,女子33チームが参加します。選手・監督だけでも700人近い人数です。また,余震も続いているため,地震対策を明確に打ち出して行うことが条件となっていました。学校の体育館を借りるにしても一体何校借りればよいのか。
 
 そんな時に,県北部の若柳の体育館から「卓球なら貸出できる」有難いお申し出を頂きました。この地域も,3月には震度7の激震に襲われた地域です。体育館もひどい被害を受けていたのですが,よもやこの年に一般の体育館で県大会を開催できるとは!
 
 県内のみならず,遠く近畿・中国からも応援を頂きました。大会開催を前に,6月のページでも御紹介した県境卓球大会の中学生から,熱いメッセージ(旗・DVD)が届いたのです! 
 
 
 
 大会当日は,体育館玄関にこの旗を掲げて選手を迎えました。残念ながら負けてしまったチームも,見事にブロック大会に進出したチームも,この旗の前で思い出の写真を撮っていた姿が印象に残っています。
 
 御支援によって,チーム揃いのユニフォームで参加できたチーム,それすらままならなかったチーム,学校の昇降口でしか練習できなかったチーム,隣県までいかなければ練習場が無かったチーム,とにかく様々な困難を乗り越えての県大会出開催でした。途中,大きな余震も発生し,競技を中断して卓球台の下にもぐる場面もありましたが,選手たちは例年と変わらない,いや,間違いなくそれ以上の熱戦を繰り広げました。
 
 特筆すべき結果としては,男子団体で,被災地石巻の中学校が優勝。困難を乗り越えての栄冠に,会場中から惜しみない拍手が送られました。