2011年8月 「東日本大震災復興支援全中」
 
 「そちらの状況はどうですか?」
 
 この年,全中を開催する和歌山県和歌山市の先生から何度かお電話いただき,その度に最初に発せられるのがこの言葉でした。
 
 お察しいただけるかとは思いますが,全中の準備というのは大変な作業です。しかし,この大会を夢見て日夜努力している中学生が集まってくることを楽しみに準備に明け暮れる日々を送ります。本来ならばその充実感を感じながら業務を行うところ,この年の委員長の先生は「被災地が大変な時期に卓球大会の準備をしていて良いのだろうか・・・」という思いを背負っている,そんな苦しい胸の内を明かしてくださいました。
 
 宮城では部活動物資の支援が続いていましたが,その度にお礼のお手紙を頂きました。その多くに共通するのが「生徒たちは,部活動をしている間は震災のことを忘れて過ごしているようです。」という内容でした。被災地の生徒も全中を楽しみにしている,和歌山の先生にもそのことを伝えましたが,少しは心の重荷が軽くなってくれていたら,と思っています。
 
 この年から全中は「東日本大震災復興支援大会」と銘打って行われることとなり,その後,横浜,岐阜,徳島とリレーされ,そして今年の宮城大会も「東日本大震災復興支援大会」として行われます。
 
 和歌山大会では,被災地のために募金活動やオリジナルTシャツの販売等を行ってくださり,その義援金が被災地に届きました。大会を開催するだけでも大変な中,被災地のことまで気にかけてくださった和歌山県実行委員会,そして,その意思をつないでくださった歴代実行委員会に心より感謝申し上げます。
 
 テレビから「風評被害」という言葉が連日のように流れていたこの時期,東北の子どもたちが心無い言葉を耳にしないか,そんな不安も抱いていましたが,そんなことを思った自分が恥ずかしくなる程,全国の方々から,数えきれないほどの,温かいお言葉をかけて頂いた大会でした。
 
 
卓球王国2011年11月号より